キャレスミュージカル「天使がラブソングゃて〜再演〜」夜の部

「ストーリーを簡単に説明すると、一人前の魔法使いになるための課題「人間界で一年間魔法を使わずに過ごす」ために降りたった学園で繰り広げられるドタバタ青春グラフィティー、とかそんな具合でしょうか。」ってことを昨年の初演時に書いておりましたのでそのまま引用、笑。

  • 総評

昨年行われた初演を思い出しながら、非常に楽しく見させていただきました。途中、台詞が飛んだシーンも散見しましたけどちゃんとフォローもあり無事乗り切った感じでほっと一安心。ただまあ、ミュージカルという割りに歌が少ないかなって思ったり、ちょっと力技が多かったかなって思ったり。結構ステージから近いところで見させていただいたので、走ってくる場面では風圧を感じたり、滴る汗が見えたりと臨場感たっぷりで一層楽しめました。
というわけで細かい感想を下にまとめてみました。えらく長文なのでお暇な方はどうぞ。以下敬称略。

  • キャスト変更

再演にあたっての新キャストで最も注目すべきは、果たして肥後あかねの穴を埋められるのか?という点でした。クロっていうまるであて書きのようなキワモノキャラを演じられる女の子がいるのか?かといってあの役を男子に演じさせたのでは面白みが半減してしまうという難しいところだったと思うのですが、そこは名古屋校の中原あゆみが見事にカバーしていて感心しました。クロっていう汚れキャラにも前任者の灰汁の強さにも負けずよく頑張っていたと思います。
ただまあ、大阪校に汚れキャラを演じられる人材が居なかったという事なのかも知れませんが。
その他、新キャストで気になったのがレイ役とユキ役。前者が脇菜々香・畑彩葉・鈴木ひかる、後者が仮谷せいら。両者とも学園のアイドル的な役どころで、もちろん皆めちゃくちゃ可愛いんですが、前者は色恋シーンがあったり、後者は傾城傾国な女性という設定だったり、演者との年齢的・身長的ギャップが否めませんでしたのでそこがちょっと違和感があったような。
サカキは松下優也延山信弘。ここのところトシくんは前髪を下ろしているんですけどそれがめちゃくちゃ格好良いんですよ。

  • 新キャラ

進学学科の伊集院さん。高圧的なお嬢様で、機嫌を損ねるとid:taku-zouさんチンピラを召喚して裏へ連れていかせる(通称・アレ)という美味しいキャラ。キャストは井上みづき後藤希望後藤希望の端正な顔立ちはまさしく適役。井上みづきは声量と台詞の抑揚が上手い。
芸術学科のジャイコ。名前はジャイコでも中身はジャイアンというキャラ。まあ、出来合いのキャラクターを登場させるのはある種反則技だと思いますが、ストーリー上止むを得なかったのかなと。キャストは清水久美子。清水久美子って割りと最近見かけるようになったんですけど良い味出してますね。センスが良いというか芝居が出来るというか。ステージでの位置取りも上手いです。
バッハ岡本は伝説のダンス教師という設定。劇中で最も灰汁の強いジョーカー的な最強キャラ。ただし、ストーリー上においては登場させる必要性一切無し、笑。
上船弘人と小野秀人のダブルキャスト

  • 対決

ストーリーの大筋は芸術学科vs進学学科なんですが、そこに生徒同士の個別の対立を盛り込むことでストーリーに幅を持たせると共にその生徒のキャラを立たせることが出来ます。
前述の伊集院、ジャイコはその意味でも美味しい。というか、伊集院を一緒に歌わせるためにジャイコという存在に頭を下げさせる必要があったんじゃないかと。

そして、もう一つの対決がこのダブルキャストだと思うんですよ。つまり同じ役を演じるキャレッ子との対決。同じ役の子が良い演技をしたらそれに負けていられないともっと良い演技をしようとする、そういう相乗効果も狙いとしてあると思うんです。
良かったのがタケシタ役の飯島浩太郎。和田雄太郎というタケシタ役の鉄板が居る中、ちょっと台詞をアレンジして彼なりに役をこなしていたのに感心しました。
あとはなんと言っても前述のバッハ岡本先生ですよ。ストーリーに関係がない役ということもあるのでしょうが、ダブルキャストの二人が思う存分にやってくれました。生徒からの「結婚してください!」とか「握手してください!」っていう問いかけがお題となった笑点のようで、回答がどんどん面白くなって大笑いしてしまいました。

アカネ「やっぱ無理、無理〜。」
岡本 「(両肩をつかんで)これが現実だ。」

サカキ「その服(全身黒タイツね)着させてください!」
岡本 「お前には荷が重過ぎる。」

とか。最高なのら。

  • その他

名古屋校の生徒さんたちもバックダンサーなんかで結構出演していました。